アンジェラ
十九歳
イタリアでは、誕生日の主役が感謝を込めて、いろいろな人にもてなしをする風習がある。
キャバッローネのボスの誕生日、となると、パーティーの規模は大きくなる。
ボスの誕生パーティーは昨日行われた。とても豪華で、招待をした人々も楽しんでくれたようで、ディーノ自身満足していた。
そして、今日、ディーノの誕生日の翌日は、久々にと二人きりでデートだ。
昨日のパーティーの後で、は祝ってくれたが、ディーノとしては、二人きりで過ごしたかった。いつも忙しく、そんなに時間がとれない。と二人で過ごす時間は毎日少しでも作っているが、デートとしたり、出かけたりというまとまった時間が最近はない。
二人で出かけても、仕事が絡んでいたりもする。
が文句を言ったことはないが、ありがたく思うと同時に申し訳なく思う。というか、ディーノがとデートできないのが我慢できないだけでもある。
そこで、誕生日だからということで、多少の我儘を言ってみた。誕生日はパーティーがあるから、無理だとしても、その次の日くらいデートしたいと。結果、スケジュール調整を優秀な部下がしてくれ、仕事を頑張って前倒しにして、今日にいたる。
「、寒くないか?」
「はい。大丈夫です」
散歩を兼ねて、予約しているレストランまで歩く。
先ほどは、が気になっていた舞台を観てきた。
ディーノとデートということで、いつも以上におしゃれをしているは可愛いなぁと、彼女が舞台を観ている間、ずっとを眺めていた。が可愛いのはいつもだけど、服装と化粧で、今日は、可愛さに加えて、綺麗だとも思う。
こんな素敵な妻を持てて、本当に幸せだと噛みしめていた。
レストランに着くと、窓際の席に通された。窓からの夜景はキラキラとして美しく、はその景色に見とれている。
「ディーノさん、誕生日おめでとうございます」
「ありがとう。に祝われるのが一番うれしいな」
料理が落ち着いたところで、が祝いの言葉をくれた。
もちろん昨日もは祝ってくれたが、今日はディーノ誕生日祝いという名目だから、再び祝ってくれた。何度祝われても嬉しいし、愛しい人に祝われるのはさらに嬉しい。
「最近あまり出かけられなくて、悪いな」
「気にしてないですよ。出かけなくても、ディーノさんいつも、一緒にいてくれますから」
笑顔で答えるを愛おしいと改めて思う。
「好きな人と一緒にいられるのが一番幸せなんです。ね?」
「そうだな」
今年も幸せな誕生日を迎えられた。
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