青い月

高校一年




 学校の帰り道。いつもの通り、はディーノに送ってもらっていた。
 車で家の前まで送ることもあるが、あの大きな車を家の前につけると、少し迷惑だろうと、大体少し離れたところから歩く。
 その方が、一緒にいられる時間も長くなるし、というのはディーノが勝手に思っていることだ。

「あれ?」
「どうした?」

 が空を見上げて、首をかしげたので、ディーノもつられて空をみる。
 日は落ちていて、空には真ん丸い月が浮かんでいた。

「今日って、満月でしたっけ? でも、月初めも満月だったような?」
「ああ、今日は、満月だな」

 そういえば、とディーノは答える。

「やっぱり、満月ですよね? でも、満月って一月に一回じゃ?」
「ブルームーンだな」
「ブルームーン?」

 ディーノの言葉に、は視線を彼の方へと移す。

「一月に二回、満月が見えることをブルームーンって言うんだ」
「へぇー」

 珍しいことではあるらしい。一月に二回も満月が出ることは滅多にないから。

「物知りですね」
「たまたまな」

 本来は青く見える月を「ブルームーン」という。しかし、何故か、月に二回見える満月を「ブルームーン」と呼ぶようになった。
 そして、どちらにしろ、「ブルームーン」は珍しいことの代名詞になっている。
 に物知りだといわれ、ディーノは少し嬉しくなったが、ディーノ自身「ブルームーン」のことを前から知ってたわけもなく、最近知ったことだ。
 それまでは、夜に月を見上げるなんてことはしなかった。
 と出会って、「この月をも見てるのかな」などと思い始めたから、「ブルームーン」のことも知ったのだ。

「それとな、ブルームーンを見ると、幸せになれるらしいぜ」
「そうなんですか? なら、その言い伝えは本当ですね。こうやって、ディーノさんと居られるんですから」

 暗に、一緒に居られるから幸せだといっているを抱きしめたくなったが、月を見ている彼女を邪魔するわけに行かず、少しの間、ディーノは我慢することになった。

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