特別な朝

高校3年




title:無題
from:山本武
text:今日誕生日なんだろ。誕生日おめでとう。また、学校でな。


 が朝起きると、そんなメールが入っていた。時刻は、今日の零時。
 日付が変わった瞬間に送ったのだろう。今日は、の誕生日だから、送ってきたらしい。
 日付が変わるまで起きてることもなく、はいつも通り寝てしまったから、朝に見ることになったのだが。

「これ、今返すべき?」

 時間が経ってしまってるから返すのもどうだろうかとも思うが、折角のおめでとうメールだ。無視するわけにはいかない。

「朝、会ってから礼言うか」

 山本はクラスメートだし、朝確実に会う。ならば、直接言った方がいいだろう。
 誕生日だからと特別なことがあるわけではないと思っていたが、こうやってメールが来ると少し嬉しかったりする。
 もちろん、このことを山本に言ったりはしない。



 教室につくと、仲の良い友達から声をかけられ、プレゼントを貰った。
 プレゼントをくれた友人の一人は、昨日日付が変わった後にメールが来た。彼女は自分が一番だったのか?と聞いてきたが。あいにく一番は彼女ではなかった。

、はよっ」
「一番は、コイツ」

 タイミングよく現れた山本を指す。
 そうなのだ。日付が変わった後の一番、すなわちの誕生日に一番初めにメールを送ったのは山本だった。
 それを告げると、友人は山本を睨んでいる。

「ん? どうかしたのか?」
「誰が一番初めにメール送ったかって話」
「ああ、俺だったのか」

 山本は、どこか嬉しそうだ。

「あ、そうだ。明日の放課後竹寿司集合なのな。皆で誕生日祝おうぜ」

 どうも、同じ月の友人達そろって、誕生日パーティーをするらしい。
 祝ってくれるのはうれしいから、もちろん参加する。

「あ、そうだ、山本」
「ん?」

 メールのお礼をまだ言ってなかったと思い、呼び止める。

「メール、ありがと」
「おう。そうだ、プレゼントを」

 キーンコーンカーンコ−ン
 山本が席まで行こうとすると、チャイムが鳴った。もうすぐ朝のホームルームが始まる。

、誕生日おめでとうなのな。プレゼントは後で渡すから」
「うん、後で。期待してる」

 山本が用意したプレゼントがどんなものか少し期待しつつ、今日はとてもいい日になりそうな気がした。

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